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千代田蔵(兵庫)
搾りたて純米生原酒
1800ml/2520円
「道灌」の銘柄で知られる太田酒造の搾りたて。約一年前に飲んだ同蔵の「灘の語らひ」と同じ灘の千代田蔵で醸している。原料米には地元兵庫産のフクノハナを使用し6割磨いている。ちょうど食べ頃の青リンゴを彷彿させるフレッシュな甘味と酸味が特徴。この軽やかな酸味のおかげで、濃厚な純米原酒の割にスイスイと飲めてしまう。肴は鰹のたたき、ゲソ天ぷら、岡山地鶏のニンニク焼。三宮は北野坂の「ばんぶ」さんにて。
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邪魅の雫
京極夏彦
「家族や友人と云うのはお気に入りの鞄なんだよ」
関口は能く判らない喩えを反復した。
「もう、片時も手放せない程に好きな鞄なのさ。好きだから、いつも持ち歩いている。使い道もあるから感謝もするさ。でも、どんなに好きな鞄でも、四六時中ずっと持っていれば疲れるだろう。出先から帰ったなら、鞄は置きたくなるだろう」(「15」より)
京極堂シリーズの最新作。とはいえ初版が2006年9月なので一年半遅れだ。短編も含めて全作読破しているファン(?)としては、五年のブランクを経て出された前作「陰摩羅鬼の瑕」(2003年)が少々物足りなかったので、さしもの京極夏彦もそろそろガス欠かと心配していたが、本作で少し盛り返したかなという感じ。読み物として素直に楽しめた。書名の「邪魅の雫」自体が、物語の重要な鍵をまともに表現しているのも初のケースか。
ただ、本シリーズにおける“妖怪”とは常に“人の心に棲み付いた妄念”の象徴であり、毎回その“憑き物”を京極堂が人間離れした博識と長口舌で鮮やかに“落とす”所が見せ場となっていたが、今回は人ではなく、心を持たない「雫」(それも化学的な発明品)が妖怪に見立てられたため、これまでシリーズ全編に漂っていた“妖気”が弱まっていた。そのぶん普通の推理小説っぽくなってしまい、クライマックスの京極堂の演説が、“憑き物落とし”ではなく単なる謎解きに終わった印象がある。
榎木津は余り見せない不可解な表情になって関口を見据えた。
「何をーー云い出すんだ」
「何をって、そりゃ僕はこんなだが、それでも昨日今日の付き合いじゃないだろう。その僕にまで隠し事をすることはないと云っているんだ」
「せ、関口さんーー」
益田は何だか本当に調子が狂ってしまった。
こんな関口は見た事がない。あの関口巽が榎木津と対等に渡り合っているーーように見える。(「27」より)
(2008/4/4更新)
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