| ダブルプレー
ロバート・B・パーカー 著/菊池光 訳
間もなく秘書がオフィスのドアを開け、グレイのスーツに黒いニット・タイを締めたロビンソンが入ってきた。鋼鉄のバネを原動力にしているような動き方だった。彼は淡褐色ではない、とバークは思った。濃い黒だ。それに、そのことを卑下している様子はない。リッキーが二人を紹介した。
「とにかく、ボディガード向きの体格だ」ロビンソンが言った。(「17」より)
1947年、一人の男がメジャーリーグの歴史を変えた。黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソン。歴代大統領の名前は言えなくても、ジャッキー・ロビンソンの名を知らないアメリカ人はいない、とまで言われる程の人物だ。ドジャースの二塁手として10年間活躍し、新人王、MVP、首位打者、盗塁王を獲得。オールスターにも6度選出された。1972年に心臓病のため53歳の若さで亡くなったが、昨年からはその背番号「42」が、全てのメジャーチームの永久欠番となっている。
さて本作はそのジャッキーがデビューした年に、ボディーガードとして身を挺して彼の命を守った白人ジョゼフ・パークと、ジャッキーとの強い絆と友情を描いたハードボイルドだ。といっても全くの架空の話。設定にも無理がなく、実在の人物であるジャッキーのキャラクターがきっちりとディテールまで描かれているため、リアリティある話として違和感なく楽しめた。
「おれは」ジャッキーがバークに言った、「あんたなしでは、やり通せなかったよ」
「おれもそうだ」バークが言った。
ローレンはなにも言わなかった。バークの肩に頭をもたせかけ、右腕を彼の腕にまわしていた。三人の下のほうでスケーターたちが旋回している間、彼女は左腕をロビンソンの腕にまわした。(「52」より)
(2008/4/28更新)
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