酒本舗

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四月の酒と本(二)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
越乃景虎

越乃景虎(新潟)
本醸造
1800ml/2110円


県内有数の豪雪地帯であり、上杉謙信が青年期を過ごした長岡市で酒蔵を営む諸橋酒造は、弘化4年(1847)創業の老舗。この本醸造は新潟産の五百万石を使用した+5の淡麗辛口タイプで、口に含むと一瞬吟醸酒かと思わせる微かな香りが広がる。スッキリした中にも膨らみがある、飲み飽きない味わい。梅田の「東方見聞録」にて。肴は旬の味覚ワカサギの天ぷら、真鯛の造り、鮭とイクラの親子握り、イカのゴロ焼、砂肝と茸のピリ辛炒め、ししゃもなど

男の居場所

男の居場所
勝谷誠彦

信州の「明鏡止水」。東北の「まんさくの花」。こうした、ありがちな酒も珍味と出会うと見慣れない相貌を見せる。酒呑みにとっては馴染みの女が意外な色香を匂わせたようで、こういうことが嬉しいというのは、私も歳をとってきたのかもしれない。いや、自分で自分に惚気ているのである。(II「私が愛した酒も料理も旨い店たち」より)

かつて阪神御影駅の近くに「K」という居酒屋があった。酒蔵を定年退職した元営業マンが震災で壊れた蔵の廃材で建てた店、との新聞記事を読み興味本位で訪れたが、初めて扉を開けた時の何とも言えない店主の笑顔と、店内から醸し出された温かい空気に一発で魅かれ、常連になった。五木ひろしの歌ではないが、絵もない、花もない、歌もない、電話もない、珍しい酒も凝った肴もない小さな店だったが、いつも客で一杯だった。何となく居心地が良いというだけが魅力の店だったが、結局その居心地の良さこそが、「男の居場所」として最も大切な条件なのかも知れない。
残念ながら店主が突然の病に倒れ「K」は閉店。店は取り壊された。ただ先頃、私の新たな「居場所」となった立呑み屋で当時の常連客と出くわし、一頻り愉快な時間を過ごした。店はなくなったが、今でもこうして居心地の良いひと時を私に提供してくれている。

日本酒にする。「奈良萬」の無濾過生原酒。酸が乗っていてピンと切れがいい。ここに「〆サバの藁燻」を。わあああっ。これは濃厚なスモークサーモンだ。軽く塩をしてあるのだろうか。醤油もいらない。そのままで口に含むと燻製の香りが酒を更にすすませる。
「来福」の純米大吟醸とともに、今度はカワハギの肝和えを。これを知ってしまうとフグの食感は軽薄すぎて下品にすら思える。
(II「私が愛した酒も料理も旨い店たち」より)


(2009/4/4更新)

 
 
   

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