酒本舗

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八月の酒と本(一)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
刈穂

刈穂(秋田)
山廃純米超辛口
1800ml/2490円


「出羽鶴」の銘柄でも知られる刈穂酒造は大正2年創業。山廃もとを主体とした全量特定名称酒の個性的な蔵元である。もろみを極限まで発酵させたこの酒は、データ的にも+12の超辛口だが、飲んでみると辛さ自体はまずまずといったところで、キレの良さと共になめらかな旨味が感じられる。原料は60%精米した美山錦。前回と同じく「花たろう」での2杯目。肴は日向トマト、旬の焼野菜、

オリンピア

オリンピア
ナチスの森で

沢木耕太郎

長身のフィンランド選手たちに包みこまれるようになりながら、日本選手としても小柄な村社が、正確なピッチで、背筋を伸ばして走る姿には、孤立無援の悲壮感のようなものが漂っていた。その姿が、十万の大観衆の心を揺り動かした。ドイツ人観客が「ムラコソ!ムラコソ!」と声を合わせて叫びはじめ、しだいにその声は場内を圧するようになった。(第二章「勝者たち」より)

本書は1936年、ナチスドイツ下で開催されたベルリン五輪について書かれたドキュメンタリーである。遥か70年以上も前の話だが、「前畑ガンバレ!」の絶叫中継や、銀と銅のメダルを半分に切ってつなぎ合わせた友情のメダル(西田修平と大江季雄)、日本人として走る事を強いられた朝鮮出身のマラソンランナー孫基禎の逸話を、誰しも一度は耳にした事があるだろう。
さて沢木といえば、取材対象と向き合った時の私的な思いを軸に話を展開する「私ドキュメンタリー」で知られるが、本書は、ベルリン五輪の記録映画「オリンピア」を監督したレニ・リーフェンシュタールとの対話をベースにした序章と終章のみその形式で構成。中に挟んだ八つの章は、出場した日本人選手個々の客観的なノンフィクションとしてまとめている。いわゆるサンドイッチ構造とでも言おうか。いつもの“熱い”スポーツドキュメンタリーと一味違う沢木の作風に出会える作品。

私は、しばらく、誰もいなくなった中二階をぼんやり見上げていた。
すると、不意に、ベルリン・オリンピックというひとつの歴史が、レニと共に階段の奥に消えてしまったような気がした。
そう、歴史というなの鳥はすでに飛び立ってしまっていたのかもしれない。
(終章「階段へ」より)


(2009/8/3更新)

 
 
   
                                         
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