酒本舗
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五月の酒と本(六)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
貴

(山口)
純米吟醸雄町50中取り生
720ml/1600円


今年の「Dancyu」3月号の、隠れた銘酒部門でNo.1受賞酒に輝いて以来、一躍人気酒となった「貴(たか)」。こいつは記事で紹介された特別純米の、さらにワンランク上をゆく純米吟醸・無濾過生原酒である。飲むのは今シーズン2回目。膨らみのある味わいと芳醇なお米の香り。口中に含んだ時と後味に少し荒々しさが残り、全体的にまろやかさには欠けるものの、味がしっかりと乗っており満足感は高い。人気が出るのも分かるなあ。

坂本龍馬進化論

坂本龍馬進化論
菊池明著

前回、「竜馬がゆく」で司馬遼太郎ファンになったと書いたが、10代前半の多感な時期でもあり、当然のように坂本龍馬にもハマった。今も我が家の書棚の二列程は龍馬関係のライブラリーで埋め尽くされている。
この本はそれらの中でも比較的最近のもので、龍馬伝の嚆矢である坂崎紫瀾著「汗血千里駒」から、龍馬研究の大家・平尾道雄氏の「坂本龍馬海援隊始末」まで、時代の異なる6つの代表的な伝記を横並びで考察。「薩長連合」「船中八策」他テーマ毎に、龍馬の歴史的役割や事実関係がどう描かれ、歴史の中で定着していったかを考証的に論じた労作である。

「それでも佐那は龍馬を待っていた。心の支えとなったのは、坂本家の桔梗紋が染められた龍馬の着物である。〜(中略)〜佐那は『これは坂本さんに贈るために染めましたが、国事に奔走し道場へもあまり来なくなり、私が切り取り、形見として持っています』と、笑みを浮かべながら見せたという。」(第2章/千葉道場入門より)

このシーン、「竜馬がゆく」ではこう描かれている。
「あの、・・・」
さな子は何かいいかけたが、竜馬はそれを言わさないために、自分の紋服の左袖をべりべりと引きちぎった。
「なにをなさるのです」
「わしは何ももっておらぬ。これを貰うてくれ」(狂瀾編/片袖より)

事実はどうあれ、この先永遠に語り継がれるのは、片袖を形見に引きちぎった龍馬の姿なのだろう。結局大半の日本人が抱く龍馬像は、司馬さんによってイメージづけられたものだから。ならばいっそのこと、「竜馬がゆく」も含めて論じてほしかったぜよ。

(2003/5/26更新)

 
       

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