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鬼平料理番日記
阿部孤柳著
「大川端のそば屋『さなだ屋』で酒をくみかわしている鬼平と岸井左馬之助。原作『蛇の眼』の掉尾を飾るのは、ひときわ風情豊かな叙情である。艫の音が川面をすべって、『・・・・すいと塒(ねぐら)を立つ白鷺の、残す雫か、露か涙か・・・・』----老船頭のさびた舟唄をさかなに二人が黙然と盃をなめていると、『ありあわせのものでございますが』と亭主が持ってきたのは、茄子の香の物に溶き辛子を添えたもの。『や。こいつは何よりのものだ』と鬼平。」(第三章「鬼平の江戸・旬の味」より)
家族が寝静まった真夜中、独り酒を呑みながら「鬼平犯科帳」のビデオを観る。この楽しみは筆舌に尽くしがたい。そしてこのドラマの中には、原作同様ほぼ毎回料理と酒のシーンが出てくるが、こいつが又どれも実に旨そうなのである。軍鶏鍋、鮎並の煮付け、菜飯、田楽、蛤鍋、白魚と豆腐の小鍋立て、川海老の塩焼、餡かけ豆腐、鴨の叩き団子・・・。画面の中のこうしたご馳走を眺めては酒を呑み、あぶったエイのひれなんぞをつまんでいる。ホンマ、やめられまへんで。 ドラマの中のこうした料理は「消え物」と呼ばれるが、本書は鬼平に登場する「消え物」の監修・指導をしてきた料理家による書き下ろし。撮影時の思い出やエピソードを織り込みつつ、鬼平がいた時代の献立や味付けについて語っている。
(2003/6/19更新)
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