酒本舗
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八月の酒と本(二)

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空蔵

空蔵(兵庫)
純米吟醸山田錦無濾過本生平成13BY
720ml/1400円


阪神大震災で木造の蔵が全壊した時、蔵の跡地に立った杜氏が「空しか見えない・・」とつぶやいたことから、「空」─ゼロからの出発という想いを込め空蔵(くぞう)と名付けた酒。
ほのかな吟醸香が立ち上り、口に含むと米麹の豊かな風味が広がる。幅と旨味のある佳酒。灘の酒に良いイメージを持っていない方に、ぜひ一度飲ませたい酒。
ちなみに現在この浜福鶴銘醸の蔵は、酒造工程が見学できる「吟醸工房」として復活。不肖この私が、工程説明用パネルのコピーを書かせて頂いた。復活前の更地にぽつんと建ったバラックの中で、当時の責任者の方に蔵のポリシーやこだわりを色々聞かせて頂いた日の事がふと脳裏をよぎる。

海の夜明け

海の夜明け【日本海軍前史】
白石一郎 

私が生まれ育った神戸には、幕末の一時期ではあるが海軍操練所があった。坂本龍馬もここで航海術を学んだ。ほんの一、二年とはいえ、我が神戸の地で龍馬が青春期を過ごしたというのは、かなりうれしい事実だ。
そして神戸海軍操練所の所長が、咸臨丸の艦長も務めた勝海舟であり、その勝が洋式軍艦の航海知識を初めて身に付けたのが、本書の舞台となった“日本最初の海軍学校”長崎海軍伝習所である。

「ちょっと風変わりなのは勝麟太郎だろう。
旗本小普請組から抜擢されて伝習所へ入ったものの、勝は数学や航海術、測量術などが、あまり好きではなかった。・・・勝麟太郎の特色は伝習生達の苦情をよく聞き、相互の結束をかためさせる人心収攬の上手さにあった。」
(「航海伝習」(二)より)


黒船到来で否応なく門戸を開かされた日本が、洋船を動かす知識も経験もゼロの状態から、わずか数年先に咸臨丸で太平洋横断を成し遂げる程の操船技術をどの様に身に付けたのか。その経緯が、若い水夫の成長物語と重ねながら生き生きと描かれている。

「『神よ、彼等を守り給え』とオランダ人教官の一人が、右手で十字を切る仕種をした。
その表情は真剣そのものであった。
しかしオランダ人達の心配は杞憂に終わり、観光丸は二十三日間という長い航海の末、ぶじ江戸の品川沖に着いたのである。
日本人による蒸気軍艦の初航海であった。」
( 航海伝習」(十)より)



(2003/8/10更新)

 
       

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