酒本舗
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九月の酒と本(四)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
くどき上手

くどき上手(山形)
桶仕込み/純米吟醸
720ml/1850円


21日に大阪・天満橋で催され「木桶仕込みの日本酒/お話と試飲会」を取材、出品13種のうち10種を試飲した。共通 の美点は“まろやかさ”と後味の程良さ。粒揃いで楽しかった。
このくどき上手は一発目に飲んだ酒。豊かな吟醸香、濃醇なのに柔らかな飲み口、クリーミーな味わい、ほのかな木香。いきなり「来てエガッたぁ〜」と実感。

三国志

三国志(八)〜(十三)
北方謙三著

「・・・名もなき老兵が、ひとり死んで行く。私の死など、いまの蜀にとってはそうあるべきなのだ」
「名もなき、老兵がひとり」
趙雲が目を見開いた。躰が痙攣している。それを、抱くようにして姜維が押さえた。啜り泣きを誰かが洩らした。
「泣くな」
趙雲は、まだ眼を見開いている。
「男の別れだ。さらば」
趙雲の眼が、静かに閉じられた。(第十二巻「老兵の花」より))


男の死をどう描くか。その一点のために三国志という題材を選んだのかと思われるほど、八巻以降は英雄達の死が次々と、見事に、美しく描かれていく。周愉、関羽、曹操、張飛、劉備、趙雲、そして諸葛亮孔明。英雄が一人また一人と消える毎に、作者の筆が冴えを増す。英雄過剰でやや息が詰まる前半とは違って、人物描写に余裕が生まれ、尚かつ焦点が少しずつ孔明に絞られていくせいであろうか。

「ほかに、書き残すべきことは、なにもなかった。
自分の生涯を、ふり返ろうとは思わなかった。人は生き、人は死ぬ。それだけのことだ。ゆっくりと、歩いた。部屋の中だ。
闇が、近づいてくる。その闇に、孔明はかすかな、懐しさのようなものを感じた。闇が、さらに歩み寄ってくる。
自分が、笑ったのがわかった。」(第十三巻「遠き五丈原」より))


(2003/9/23更新)

 
桶の民

桶の民(岩手)
木桶仕込純米酒
500ml/2500円


イベントではこの「桶の民」の蔵元・南部美人の五代目を継ぐ久慈浩介氏がビデオレターで参加。「不思議な事に醪が木桶に入るとバニラの香りがした」とのこと。色は豊かな琥珀色。飲んでみるとバナナを思わせる南洋果実系の香りが印象的。ただ飲んでみると意外にスッキリ。旨味と酸がほどよく調和し、厚みのある甘酸っぱさが口中に広がる。鼻の奥に洋酒の風味がかすかに感じられたのも面白かった。

   

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