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久保田碧寿(新潟)
山廃純米大吟醸
720ml/2150円
きき猪口に注ぐと、さすがに新潟の酒らしく澄んだ色合い。大吟醸とはいえ香り控え目。開栓したばかりの一口目は強さを感じたが、時を置き杯を重ねるにつれまろやかさと、一本芯の通った辛さが口に残る。山廃仕込みにしては乳酸の風味や重い感じはなく、新潟ならではの端麗さが前に出る感じで飲みやすい。
それにしてもである。なじみの酒屋は久保田の正規取扱店なのでもちろん表示通りの価格で購入したが、ネット上には2倍、3倍のプレミア価格で販売しているショップが跋扈している。何か、日本酒飲みが酒屋に馬鹿にされているようで、妙にムカつくね。(→久保田万寿)
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ドリンキング・ライフ
ピート・ハミル著/高見浩訳
「酒は内気な人間に自信を、迷っている人間に明晰さを、傷ついた孤独な人間に慰藉を、そしてとりわけ、愛と友情とつかみどころのない希望を人々に与える。ほとんど物心がつくかつかないうちから、酒は私の人生の一部だった。」(「はじめに」より)
酒の飲み方を知ったのは社会人一年目。私にコピーの基本を教えて下さった当時の上司のおかげである。高度成長期の輝きを知る旧き良き時代の広告マン。遊びの達人だった。新地のクラブ、老舗のショットバー、ビアホール、割烹、蕎麦屋、ガード下の立呑etc.。毎晩のように、ありとあらゆる酒場の扉を開いてくれた。背筋を伸ばし、深酒はせず、足元が危うくなりそうな時は「スマン、お先に」と、さりげなく勘定を済ませ一人席を立つ。きれいな飲み方を背中で教えてくれた。
ある冬の夜、新地で飲んだ帰りのこと。信号を渡ろうとしてその人は、膝から崩れるようにころんだ。「いやあ、面目ない」と照れ笑いをしていたが、その時既にガンに冒されていたんだと私が知ったのは、それから2ヶ月後だった。その人と一緒に興した会社、描いた夢は、やがてあっけなく消え去った。
あれから17年。あと5年で、私はその人と同じ年齢を重ねることになる。
「そこはさながらジョン・スローンの絵のように淡い琥珀色の光に包まれていた。長いカウンター。シャッフルボード・マシーン。ジュークボックス。窓際に置かれたテレビ。そしてテーブルが一つ。カウンターの背後では、さまざまなボトルが輝いていた。同じ棚の中央にはキャッシュ・レジスターが鎮座しており、一方の端にはホットドッグをつくるためのトースター、もう一方の端にはミス・ラインゴールドの広告が置かれていた。あの最初の晩、バーは満員で、暖かく、タバコの煙がたちこめていた。窓は蒸気でくもっていた。」(「自立」より)
(2003/10/22更新)
*ピート・ハミルのその他の本
ブルックリン物語
新聞ジャーナリズム
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