酒本舗
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十一月の酒と本(一)

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最近飲んだ酒 近頃読んだ本
早瀬浦

早瀬浦(福井)
特吟山田錦・生
720ml/2300円


裏ラベルによると、平成15年に醸した大吟醸酒のうち、旧式の槽(ふね)で搾る際に生まれる「荒走り」(最初に出てくる部分)と「責め」(圧力をかけて押した部分)をブレンドしたお酒。平たく言えば搾った大吟醸のうちで、一番美味しい中取りの部分を“一等賞”とすると、その“前後賞”のような酒と言えようか。骨太な飲み口で、飲んでしばらく米の旨味の余韻が口中に残る。大吟醸ではあるが果実系の香りではなく、程良いコクのある辛口なので、しっかりした味付けの料理や揚げ物となら食中酒としてもOKか。機会があれば“一等賞”の部分と飲み比べてみたいもの。

 

バカの壁

バカの壁
養老孟司著

「今の若い人を見ていて、つくづく可哀想だなと思うのは、がんじがらめの「共通了解」を求められつつも、意味不明の「個性」を求められるという矛盾した境遇にあるところです。会社でもどこでも組織に入れば徹底的に「共通了解」を求められるにもかかわらず、口では「個性を発揮しろ」と言われる。どうすりゃいいんだ、と思うのも無理の無い話。」(第三章「『個性を伸ばせ』という欺瞞」より)

クリエイターの仕事は、ユニークなアイデアを競う場面が目立つため、人材を採用する際も「個性」のユニークさが優先されると思われがちだが、違う。まずはまじめで、努力家で、バランス感覚を持つ常識人であることが条件であり、頭の回転が良ければなお結構。アーチストではなくビジネスマンである限り、個性を表現する前にクライアントの要望をいかに満たすかが先決だ。それをクリアして初めて“プラスα”の「個性」が武器になる。そのとんがった部分は、実は地味な「努力」の賜物なのだ。ただ、アウトプットに到達するスピードやクォリティには残念ながら個人差があり、誰もが同じレベルの答えを出せる訳じゃない。いわば、厳然たる“センスの壁”が横たわっているのだよ。

「『君たちだってガンになることがある。ガンになって、治療法がなくて、あと半年の命だよと言われることがある。そうしたら、あそこに咲いている桜が違って見えるだろう』と話してみます。・・(中略)・・
では、桜が変わったのか。そうではない。それは自分が変わったということに過ぎない。知るということはそういうことなのです。」
(第四章「万物流転、情報不変」より)

(2003/11/1更新)
*養老孟司のその他の本:
「養老孟司の〈逆さメガネ〉」
「無思想の発見」

 
       

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