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鬼平犯科帳人情咄
高瀬昌弘著
「『やっとこの頃、平蔵の心が判って参りました。夢中で演じた十年前の作品を、今一度、総て演じ直してみたい』−この人は、生涯、平蔵役者として成長を続ける人に違いないとの想いが私の心を強く打った。(第四部「中村吉右衛門編」より))
ストーリーの完成度、映像の深さ、ディテールへのこだわり等、TVシリーズの鬼平犯科帳の面白さ、すばらしさを語り始めると、とてもこのページでは足りない(もちろん原作のすばらしさは言うに及ばず)。見たことない方は、TSUTAYAでもどこでもいいからとにかく一本借りて観なさい!
松本幸四郎(白鸚)主演に始まり、以後丹波哲郎、萬屋錦之介と続き、今日の中村吉右衛門主演で黄金時代を築いた鬼平シリーズ。本書はその全シリーズの制作に関わり、うち77本を監督した著者による撮影秘話。随所に描かれる四人の鬼平役者のエピソードが興味深い。
「運ばれて来た膳の上には、台本の指定通り、鮎の塩焼き、その他初夏の料理がのっていた。それらを見られた吉右衛門さんは、そのまま控えの間に入って、丁度来合わせていた松竹のプロデューサーを呼ぶのであった。
しばらくして蒼ざめた顔色のプロデューサーが私を手招きする。
何事ならんと近寄ってみると、吉右衛門さんが『私はこの作品、冬のつもりで全シーン、冬の芝居をして来ました。季節が初夏なら芝居が違います。全部撮り直して下さい』とのこと・・・・。
一瞬、全スタッフも息を飲み、セット中が静まり返った。」(同上)
(2003/12/15更新)
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